Web教材 NaClの状態変化・水への溶解  Ver. 1.12 (2009/9/7)

2.NaClの融解

NaClが融解するとNaとClが規則正しく並んだ配置が壊れていく様子がわかります.
水の場合には固体の氷が融解すると密度が上昇しますが,
NaClでは融解とともに密度が低下します.

108個のNa粒子(ナトリウムイオンNa+ + 108個のCl粒子(塩化物イオンCl-)からなるNaClを,950℃(= 1223K)に保持しました.
約430 ps注3 (= 430×10-12秒)後に融解が起き,これとともに内部エネルギー E は上昇し,密度 Dは低下しました.

融解する前のNaCl











NaCl結晶を作っているNa粒子(黄色)Cl粒子(緑色)とが,激しく熱振動しています.
NaClとが規則正しく並んで立方体を形作っていることもわかります.

アニメーションにおけるコマとコマとの間隔は 0.05 ps注3 (= 0.05×10-12秒)に相当します.

融解したばかりのNaCl

















Na粒子(黄色)Cl粒子(緑色)が泳ぎまわっている様子がわかります.液体のNaClになったのです.

融解が起きる様子

それでは,次に融解が起きるときの様子を見てみましょう.
はじめのうちは結晶を構成するNa粒子Cl粒子が激しく熱振動しているだけですが,およろ3分の2を過ぎると結晶があっという間にくずれてしまいます.
融解が起きる様子のアニメーション(23秒間)を見る (AVI形式,18 MB)

アニメーションをさまざまな方向から眺めたい方は,gfa形式のファイル NaCl_s-l.gfa (1.1 MB)をご利用ください.
(使用法はこちらをご覧ください.)

注3: ps (ピコ秒)
 時間の単位で,1 ps は 10-12秒,すなわち 1兆分の1秒 といった非常に短い時間に相当します.

Copyright by

高知大学教育学部 赤松研究室 赤松 直,田 偉,南場 功充
岐阜大学教育学部 川上研究室 川上 紳一
東京工業大学地球惑星科学専攻 河村研究室 河村 雄行

協力者

室蘭工業大学工学部材料物性工学科 澤口 直哉