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研究内容

当研究室では,機能性の無機化合物の合成をメインとした研究を行っています。特に現在では,ポリオキソメタレートと無機蛍光体材料を研究対象にしています。 詳しくは下記を見てください。

A. ポリオキソメタレートに関する研究


ポリオキソメタレート(POM)とは,酸性水溶液中においてモリブデン酸イオンあるいはタングステン酸イオンと,リン酸イオン等と縮重合することによって生成する無機高分子錯体である。POMは,分析化学(モリブデンブルー法),触媒化学,材料科学(エレクトロクロミズム),生化学(抗ウイルス活性,抗腫瘍活性)など,様々な分野で応用されている。しかし、その生成反応機構や酸化還元反応メカニズムは未だに不明瞭な部分が多く残されている。

そこで,POMの未知な部分を解明し,POMの高度な応用研究へ繋げるために,

1)新規POMの合成(特に硫黄を中心イオンとしたPOM)

2)POMの電気化学的酸化還元反応メカニズムの解明

3)POMの生成反応機構を解明

4)POMの化学的性質を利用した分析化学的研究

に関する研究を重点的に行っている。


1)新規POMの合成

多くのPOMの中心イオンとして,正リン酸やケイ酸が用いられてきたが,当研究室では,硫酸イオンや有機リン酸を中心イオンとして含む新規POMを合成している。

水ーアセトニトリル混合溶媒中から,硫酸イオンを中心イオンとして含み,
タングステンの一部をバナジウムに置換した新規POM錯体の合成単離に成功した。

 

 

 

 

 

 



有機リン酸を含むInverted-Keggin型構造のPOMを世界で初めて合成単離した。

 

2)POMの電気化学的酸化還元反応メカニズムの解明

POMの電気化学的酸化還元挙動は,定性的には古くから分かっている。当研究室では,ESRやNMR等の分光学的手法を併用し,
CVのシミュレーションを通じて複雑なPOMの電気化学的酸化還元反応メカニズムを定量的に解析している。

 

B. 未利用資源からの水素・化学品製造のための触媒開発

天然ガスやバイオマスは安価かつ豊富に存在しますが,化学的に安定であるために利用が限定的でした。これらを原料として,次世代の二次エネルギーとして注目される水素や,低級オレフィン,芳香族炭化水素などの高付加価値な化学品へと高効率に転換できる触媒の開発を目指して研究しています。また,300℃以下の低温の産業排熱は現状ほとんど捨てられていますが,これを有効利用するために,300℃以下の低温で駆動する触媒反応場の研究も行っています。

一例として,メタン酸化カップリングはメタンと空気(酸素)からエチレンなどのC2炭化水素を一段で作れる反応ですが(式1),従来は700℃以上の高温でしか反応を進めることができませんでした。
2CH4 + O2 → C2H4 + 2H2O (式1)
これに対し,ポリオキソメタレートを前駆体として合成したCe2(WO4)3/CeO2触媒を用い,微弱な電場を印加することで,150℃という低温でもこの反応を進められることを見出しました。

このように,高機能な触媒の開発や低温で駆動する触媒反応場の研究を通じて,次世代のエネルギー・化学品製造のための新しい触媒反応プロセスの研究を行っています。

 



 
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