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研究内容Research

藤代研究室では、電気伝導特性、化学熱力学、光物性物理学をキーワードに、 セラミックス(酸化物)を研究対象として実験を進めています。現在取り組んでいる主な研究テーマを以下に示します。

遷移金属イオン混合効果を利用した 新たな酸素貯蔵セラミックスの創製
酸素貯蔵能物質は、気相中の酸素を自身の構造中に可逆的に出し入れできるため、自動車用三元触媒や酸素富化空気の生成の基幹物質として応用・検討されています。 この現象は物質中の遷移金属イオンが、周りの温度や酸素分圧の変化に対応してredox反応を示すために生じます。 この研究では、SrFeO3−dのFeサイトに他の遷移元素を置換すると、その種類や量といったパラメータによって酸素欠損の配列や量、 化学的な安定性が変化することに着目し、それらパラメータと酸素吸収放出特性の相関関係を調査しています。

可逆的な化学反応を利用した 二酸化炭素吸収セラミックスの開発
工場・発電所等の排ガス中にある温室効果ガスの一つであるCO2を選択的に分離・回収する技術の開発が地球環境保全の観点から求められています。 また、炭化水素ガスから水素を生成する際にもCO2のみを選択的に回収できれば生成効率が向上しうることからも検討されています。 これらを解決する一つの方法として、化学反応を利用したCO2の分離・回収技術があります。この研究では、 アルカリ金属・アルカリ土類金属を含むいくつかの複合酸化物を対象に、CO2との反応に対する平衡熱力学、反応温度や速度を評価し、 新たなCO2吸収セラミックスの合成に挑戦しています。

新規酸化物イオン‐電子混合導電体の 置換元素と電気伝導特性の相関
混合導電体は、酸素透過膜材料や固体酸化物形燃料電池の正極材料などに応用が検討されています。 その中でも金属-酸素八面体が各頂点で共有した構造を基本とするペロブスカイト型構造を有する酸化物(ABO3)は、 A, Bの両サイトに異なる元素の部分的な置換が可能です。これにより物性を大きく変えることが可能であるため、 現在、様々な系について検討がなされています。この研究では、我々が見出した酸素欠損の配列が不規則なペロブスカイト 構造を持つBaFe1−xInxO3−dをベースとして、様々な元素を置換して新たな混合導電体の合成に挑戦しています。

イオン結晶‐酸化物微粒子複合体の 室温での高いイオン導電特性の解明
ある種のイオン結晶に酸化物微粒子を分散して複合体を作製すると、室温でも元の物質に比べて2~3桁程度導電率が増加するため、 このような複合体は新たな固体電解質材料としての可能性を秘めています。この高いイオン電導特性の出現は、 イオン結晶と酸化物微粒子の界面にできる空間電荷層がイオンの伝導パスになるためと考えられています。この研究では、 酸化物微粒子の粒子形状やサイズ分布、また、誘電率などの物質固有の値を様々な合成方法を用いることや固溶体を合成することによって変化させて、 種々のパラメータがイオン電導特性に与える影響を調査しています。

バナースペース

高知大学理工学部数学物理学科
物理科学コース 藤代研究室

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