ウェブ教材<中学生編>の解説の追加

高知県では、1日に2度、潮の干満がおこり、大潮では昼と夜の12時頃に干潮、朝と夕方の6時頃に満潮となります。大潮は満月と新月の頃におこり、干満の潮位差は約2mになります。潮位表は釣具屋においてあるほか、気象庁のホームページで見ることができます(「潮位表」で検索すると表示されます)。

浦戸湾にはかつて広大な干潟がありましたが、埋め立てによりそのほとんどが消失しました。2枚目のページ(海岸タイプ)の左下の写真は、鏡川河口の干潟、右下の写真は、国分川河口のヨシ原で、往時の片鱗をみることができます。県西部では、四万十川河口やその支流の竹島川に大規模な干潟が発達します。

干潟の底質は、波あたりの強さや粒子の供給量、澪筋の位置などの微地形によって、泥、砂泥、砂、転石などさまざまです。底質によって、生息する生物の種が変化します。例えば、一般的な高知の干潟表面で採餌活動をするカニ類では、泥質にはヒメヤマトオサガニ、砂泥質にはチゴガニ、砂質にはコメツキガニが多く見られます。

干潟に生息する生物のほとんどは堆積物中に暮らすベントス(底生生物)であり、その多くが巣穴を作ります。なかでも甲殻類のアナジャコ類(十脚目アナジャコ下目)は生息密度が高く、干潟の優占種となります。アナジャコ類の巣穴はY字型をしており、上部は懸濁物食を行うために使われます。下部から地底へ巣穴が伸びて、50cmよりも深く達しますが、そこで何が行われているかは明らかになっていません。アナジャコ類のつくる巨大な地下空間は、カニ類やハゼ類など他の共生生物の生息場所ともなります。アナジャコ類は懸濁物食を行うため、アサリなどの二枚貝類と同様に海水を濾過します。また、巣穴壁面では脱窒細菌が水質浄化を行っています。アナジャコ類が住むと、干潟の脱窒機能が3倍ほど高まるという海外の実験例が知られています。

2011年から施行される中学校理科の新学習指導要領では、節足動物や軟体動物の観察と脊椎動物との比較を行うことが追加されました。このHPで紹介したアサリの水質浄化実験を行う際に、冷凍アサリを用いて解剖をさせてみてください。水管が口ではなく、その反対側に口があります(4枚の唇弁の根元の中心部分にあります)。鰓と口と肛門を確認して、アサリの水質浄化が、実際に身体のどこで行われているかを説明してください。

アサリの解剖図はコチラ

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