◆ 魚肉軟化と細胞外マトリックス分解 ◆

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 目次 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

 1.魚肉の軟化とは?  2.冷蔵中の筋肉構造の変化  3.体を支える細胞外マトリックス
 4.コラーゲン分解に関わる酵素  5.魚の組織中のコラーゲン分解活性  6.産卵期のアユでの活性発現
 7.刺し身の軟化に関わる酵素活性  8.軟化に関わる酵素遺伝子  9.TIMP (MMP阻害タンパク質)
10.死後でも生きている? 11.今後の課題 12.お礼

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2.冷蔵中の筋肉構造の変化

■ 冷蔵中に筋肉細胞外の繊維状構造物が崩壊する

   魚の死後、筋肉の中で何が起こっているのか知るために、顕微鏡を使って調べた人たちがいます。下に示すのは近畿大学農学部の安藤先生らが観察したマイワシ筋肉の構造です。筋肉を薄いアルカリ液に浸して筋肉細胞を溶かし出し、筋肉細胞を取り囲む構造物を残して観察しています。


死後硬直


24時間冷蔵後

   一目でみてわかるように、蜂の巣のような構造を作っている網目状の構造が24時間後ではまばらになっています。このような構造の変化は、他の魚の冷蔵中にも観察されていますし、産卵期になると筋肉が軟らかくなるアユでも観察されています。
   もちろん、冷蔵中に起こる筋肉の構造の変化はこれだけではありません。上の実験では溶かしだされてしまった筋肉細胞の中にある筋原繊維の構造が、冷蔵後に顕微鏡で観察しにくくなるという報告もあります。しかしながら、上の写真で観察されるように、筋肉細胞を取り囲む構造が激しく観察されていることから、私たちはこの部分の変化がどうして起こるのかを知ろうとしました。


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