分野・研究紹介

分野:地理情報科学

 地理情報科学は、地図や衛星画像などの地理空間データあるいは地理空間情報を取得・処理・管理するための方法を研究開発する学問分野です。我々は、地理空間データを利用目的に合わせて、必要に応じて加工することで地理空間情報を生成し、これを利用します。地理情報科学は様々な技術分野が関連しています。例えば、地理空間データ/地理空間情報の取得に関する分野として、測量学やリモートセンシングがあります。管理や可視化に関する分野として、地理情報システム(Geographic Information System;GIS)があります。


研究紹介①:衛星画像を用いたイネの収穫量推計

 食糧安全保障という意味では、生産維持のために農家の経営安定化は必要なことの1つです。大規模な自然災害によって収穫量が減少した際には、減収程度を速やかに把握し、それに基づいて補償金を支払うということが考えられます。しかし、大規模な災害になると人手による調査は大変であるため、広範囲を一度に撮影できる衛星画像による収穫量の推定を検討しました。

 推定には植生指数と呼ばれる植生の情報を示すものを変数に用いました。これは画像に記録されている値を用いて求まります。右図では、植生指数であるNDVIとGNDVIを軸にして各水田のデータをプロットしたものです。(出典:電子情報通信学会誌,103(9),2020.)

 撮影した地域にはいろいろな品種の水田、生育の進み具合の異なる水田などいろいろな状態の水田が含まれますので、これらの違いを考慮した推定精度手法の検討をしました。
 左図は、状態のことなる水田の一例です。左から、生育が遅延しているもの、倒伏しているもの、土砂が流入しているものです。上段・下段がそれぞれ、衛星画像と現場でドローンを用いて撮影した画像です。(出典:日本リモートセンシング学会誌,40(4),2020.)


研究紹介②:ドローン画像を用いたイネの生育変化観察

 効率的に、高い収穫量かつ美味しいコメを作るためには、適切なタイミングに適切な量の肥料を与える必要があります。水田は、その場所によって気候や土壌の条件が異なるので、その水田において最適な肥料のやり方を設計してやる必要があります。

 それを支援する手法として、ドローンで撮影した画像を解析することで、肥料の量の違うイネの生育変化の違いを評価しました。これにより、効率的な肥料の量を決める参考とすることが期待できます。

 右図は、水田内の肥料を撒いたエリアとその周辺における葉面積の変化(ここでは、生育変化の指標として葉面積を採用した)を示したものです。肥料を多く撒いた場所で時間とともに葉面積が大きくなることがわかります。(出典:日本作物学会紀事,90(2),2021.)


その他

  • ダイズ畑における湿害対策に向けたドローン画像による土壌含水率推定
  • 大規模生産法人におけるイネの生産性評価
  • 大規模生産法人の水田における作物モデルの適用検証
  • 衛星画像を用いた地域レベル生産最適化に向けた技術融合の取組み
  • 衛星画像を用いた地理的農作業ノウハウの抽出と構造化に関する取組み
  • 衛星画像やGISを用いた放牧地管理支援に関する取組み