紅藻フタツガサネの四分胞子形成における微小管の動態
横山 慶(細胞生物学研究室)

 紅藻類における減数分裂は,四分胞子嚢と呼ばれる生殖細胞で行われ,そこでは単相の4つの胞子,すなわち四分胞子が形成・放出される。この四分胞子形成過程における核の分裂方向及び位置の調節,細胞小器官の分配,細胞質分裂においては,他の生物の場合と同様にアクチンや微小管などの細胞骨格が大きな役割を果たしていることが予想される。しかし紅藻類では一般に細胞骨格の電顕固定が困難で,蛍光抗体法による観察も厚い細胞壁を持つ四分胞子嚢では今まで行われていなかった。
 本研究では単列糸状紅藻フタツガサネの一種Anthithamnion antillatumの四分胞子嚢の減数分裂および胞子形成過程において間接蛍光抗体法による微小管観察を試みた。化学固定した試料を押し潰し細胞壁から分離した細胞質において微小管の観察が可能であった。その結果,1細胞期には減数第一分裂の紡錘体,2および4細胞期の核周辺微小管,また,4細胞期には核表面にあって隣接した2つの微小管極と細胞狭窄部から各細胞全体に放射状に伸びる細胞表層微小管を観察することができた。

題目一覧へ