巨大細胞性黄緑藻フシナシミドロの先端成長における原形質流動
布施 あいの(細胞生物学研究室)

 「先端成長」は、円筒形細胞のドーム状先端部分だけが伸長する、植物細胞の典型的な局所的成長様式である。先端成長を行う様々な植物細胞において、細胞骨格に基づく原形質流動が観察されており、細胞の成長やその局在化にその原形質流動が必要であることが示されている。本研究では先端成長のモデル生物である巨大細胞性黄緑藻フシナシミドロVaucheria terrestrisを用いて、原形質流動のあり方とそれに関連する細胞骨格の特徴を明らかにするため、細胞の様々な位置における細胞内構造、特に葉緑体の運動を顕微鏡ビデオ画像を用いて解析するとともに、アクチン繊維の配列を間接蛍光抗体法により観察した。
 葉緑体は先端から200μmの部分では毎分4.6μmの低い速度で方向性の無い運動をしており、200?400μmでは毎分7.7μmと速度が速くなり細胞の長軸に沿った方向性も見られ、400μmより基部側では長軸方向に毎分12.7μmの速さで活発に運動していた。アクチン繊維は葉緑体がない先端成長部位では観察されず、葉緑体運動に方向性が認められなかった先端付近では網目状に配列し、葉緑体が長軸方向に運動していた基部側では、やはりアクチン繊維も長軸方向に配列していた。
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