緑藻スジアオノリにおける原形質運動の定量的阻害実験
荻野翔真(細胞生物学研究室)

ogino スジアオノリの藻体は一層の細胞が円筒形に並んで出来ており,その細胞内の藻体表面側に側壁性の葉緑体,内部側に液胞,その間に核やその他の細胞小器官を含む原形質が存在する。これまでの研究によりこの原形質部分がうごめくような運動を示し,その運動はアクチン阻害剤Latrunculin B (LatB, 5-1000µM, 1時間)により阻害されることが知られている。また,この阻害効果を詳しく評価する目的で,原形質全体に分布するミトコンドリアを生体蛍光染色し,その形態の経時変化の大きさを数値化することにより原形質運動の定量化が試みられている。
 本研究では,この原形質運動定量法のさらなる改善を検討し,LatBによる阻害効果の定量的評価を試みた。その結果,励起光シャッターの使用により,蛍光の退色補正が不要となる一方,細胞全体の染色強度による数値補正の必要が示唆された。また,LatB処理(50-400µM)が濃度依存的に原形質運動を阻害することが確かめられた。

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