多核緑藻クダネダシグサにおける分割細胞分裂初期のアクチンフィラメントの分布
奥澤大地(細胞生物学研究室)

okuzawa ミドリゲ目多核緑藻は分割細胞分裂とよばれる特有の細胞分裂を行う。分割細胞分裂と傷害治癒はどちらも原形質の収縮運動であるので,両者は共通のメカニズムをもつと考えられている。しかし,ミドリゲ目に属するクダネダシグサの分割細胞分裂は暗期にのみ起こり,光に阻害される(仁尾知夏,2010年度卒業論文)。本研究では,クダネダシグサの分割細胞分裂と傷害治癒における原形質の運動の過程を比較して相違点を明らかにし,原形質運動に関与していると考えられるアクチンフィラメント(AF)の挙動を,間接蛍光抗体法を用いて明らかにした。
 分割細胞分裂の初期には原形質が斑点状を呈する段階があり,この現象は傷害治癒には決して観察されなかった。分割細胞分裂では,斑点となった原形質からAFが放射状に出現し、その周辺部へAFは細胞長軸方向に伸長した。それに対して傷害治癒では,原形質全体にわたりランダムなAFがまず出現し,その後, AFは束になって細胞長軸方向へ配列した。

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奥澤大地・仁尾知夏・佐久間弥生・山内智絵・関田諭子・奥田一雄:「多核緑藻クダネダシグサにおける分割細胞分裂初期のアクチンフィラメントの分布」,中国四国植物学会第71回大会,岡山市(2014)

奥澤大地・関田諭子・奥田一雄:「多核緑藻クダネダシグサの傷害治癒における細胞骨格の役割」,日本藻類学会第39回大会,福岡市(2015)