渦鞭毛藻Gymnodinium pyrenoidosumの細胞外被を構成するミクロフィブリル
寺田将志(細胞生物学研究室)

terada  多くの植物種の細胞壁の主要構成成分であるセルロースは,細胞壁中では結晶化してセルロースミクロフィブリル(CMF)の形で存在している。一般的に,渦鞭毛藻類の不動細胞の細胞外被はCMFを含むと考えられている。しかし,CMFの同定やその形態については,ペリディニウム目とピロキスチス目に属する3種で詳細な報告がなされているのみである。本研究では,ギムノディニウム目に属するGymnodinium pyrenoidosumの不動細胞の細胞外日の構造とCMFの有無,CMFの形態を明らかにすることを目的とし,超薄切片法,ネガティブ染色法を用いて透過型電子顕微鏡で観察した。
 本種の不動細胞の細胞外被は二層構造からなり,内側の層は約719.02nmの厚さで,やや電子密度が高く,外側の層は約556.08nmの厚さで電子密度が低い構造であった。また,特に内側の層が,セルラーゼの一種に金粒子をつけたプローブ(CBH-I gold)により標識された。
 本種の不動細胞からミクロフィブリル(MF)を化学的に抽出し,ネガティブ染色法によりMFの形態的特徴を明らかにした。さらに,このMFが,CBH-I goldにより標識されたことから,CMFであることが明らかになった。CMFにならないの幅は,平均4.75±0.127nm(最小値1.06nm,最大値9.58nm)であった。

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