生体機能物質工学実験 II

2‐5. 酵素処理後の DNA 切断片の精製

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はじめに

前の実験では、制限酵素切断後の PCR 産物とプラスミド DNA をアガロース
ゲルで電気泳動し、ゲルからバンドを切り出しました。ここでは、切り出したゲル片
から、DNA を精製します。要するにゲルを溶かして、アガロースを除去し、
DNA をきれいにすればよいのであり、さまざまな方法が開発されています。
最も原始的な方法は、低融点のアガロースゲルを使って電気泳動を行い、
ゲル片を煮て溶かし、フェノール抽出を数回繰り返してアガロースを沈殿させ、
上層(水層)に残った DNA を回収する方法です。 ・・・が、ここでは、
宝酒造の Easy Trap というキットを使って、簡単に DNA を精製します。
 原理や方法は、キットの説明書に(日本語で)詳しく書かれているので、
ここでは繰り返しません。
 


知っておかなければならないこと

キットの説明書をコピーして配るので、それを読んでおくこと。
あらかじめほしい人は、ふじわらのところまで来てください。
すぐにコピーしてあげます。
 


実験

前の実験で電気泳動後に切り出したゲル片から出発する。

1. エッペンのゲル片を軽く遠心して、ゲルの大きさを推定する。
    
2. ゲルの 3 倍量の NaI (ヨウ化ナトリウム)溶液を加える。
   ゲル片が約 100 μl なら NaI 溶液を約 300 μl 。

3. 55℃ でゲルを溶かした後、室温に戻す。

4. Easy Trap ガラスパウダーを 5 μl 加え、よく混ぜる。
   ガラスパウダーは硬い沈殿になっているので、使う前に念入りに
   ボルテックスして、ほぐしておく。

5. 室温で 5 分間おく。
   ときどきボルテックスをして、ガラスビーズが沈まないようにする。
   ヨウ素イオンのようにイオン半径の大きい(chaotropic な)イオンの
   存在下で、DNA がガラスビーズの表面に吸着する。

6. 3 秒ほど遠心し、上清を捨てる。

7. 洗浄用緩衝液を 500 μl 加え、ボルテックスで沈殿をほぐす。

8. 3 秒ほど遠心し、上清を捨てる。

9. ステップ 7 とステップ 8 を繰り返す。

10. 沈殿に TE バッファーを 10 μl 加え、ボルテックス。
   沈殿を完全にほぐす。

11. 55℃ で 2 分ほどおく。
   ときどきボルテックス。
   これで、DNA がガラスからはがれる。

12. 5 秒ほど遠心し、上清を新しいエッペンに移す。
   沈殿を取らないように。

13. もう 1 度 5 秒ほど遠心し、上清を新しいエッペンに移す。
   絶対に沈殿を取らないように。

14. 上清の 5 μl 分をアガロースゲル電気泳動でチェック。
   精製された DNA 断片の量と純度を推定する。
   バンドとして見える程度の量があれば、次のステップに進める。
 


実験に使う試薬

キットの説明書参照。
 


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