化学生態学とは・・・

化学生態学とは・・・

生物間相互に作用する化学的因子に注目して、生化学や化学、分子生物学、分子遺伝学的な手法によってそのメカニズムを解析する研究領域です。

例えば、農業害虫として有名なミナミキイロアザミウマはいろいろな野菜を加害しますが、トマトやイチゴを加害することはありません。なぜ「アザミウマがトマトを加害しないのか?」はとても不思議なことですが、いくら観察してもその理由はわかりません。しかし、有機化学的な手法で研究を進めると、トマトの中にトマチンと呼ばれるアルカロイドが存在し、ミナミキイロアザミウマの摂食行動を止めていることが判明しました。

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このように生物と生物(例では害虫と農作物)の間で観察された不思議な現象を、介在する因子を特定したり(例ではアルカロイド)、機能(例では摂食阻害活性)を解明し、この因子の生態系の中における役割を考察する(例ではトマトはアルカロイドでアザミウマから防御している)ことで、さらに詳細に生態系を解明していくのが化学生態学です。

我々の研究室ではこのような摂食阻害物質や、アオムシの例のように逆に摂食行動を促進する摂食刺激物質、あるいは産卵刺激物質や産卵阻害物質、誘引物質や忌避物質など、植物の防御機構や昆虫の寄主選択に関与する因子を生化学や化学、分子生物学、分子遺伝学的な手法で解明する研究を主におこなっています。
また、これらと同時に、植物は他の植物との生存競争において優位を獲得するために、他の植物の成長を抑制することが知られています。このようなアレロパシー現象や昆虫フェロモンの研究も行っています。

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