研究室で学べること,身につくこと

研究室に配属された方は,各自独立した研究テーマが与えられます。
その研究テーマを理解して遂行するためには,研究の背景や専門の知見を学び,実験方法を習得する必要があります。 また,セミナーや報告会を通じて,プレゼンテーションおよびディスカッションの技能を身につけます。 本人にやる気さえあれば,専門知識・技能ともに,高度なレベルまで高めることができます。

 

 微生物の培養技術

当研究室では,主に赤潮や貝毒を引き起こす植物プランクトンあるいは様々な機能を有する細菌を対象に,多くの実験を行っています。 海で発生する赤潮や貝毒のメカニズムを解明し,防除技術を開発するためには,海洋環境を模した条件をわれわれが整え, その条件下で,対象とするプランクトンや細菌が何を行っているのかを調べたり確認したりする必要があります。
また,人間がプランクトンや細菌を作り出すことはできませんので,自然環境から目的の微生物を単離することも大事です。
こうして見てみると,われわれの実験を行っていく上で,プランクトンや細菌を単離して培養する技術は最も基本的かつ重要な技術であります。 ですから,研究室のメンバーとなれば,必ず培養技術を身につけることができます。

 

 顕微鏡による細胞観察

自然環境に生息するプランクトンや細菌がどんな姿かたちをしており,いかなる種がどれだけ生息しているのか?
どのような条件で細胞の形態が変化し,どれだけ細胞が減るのか増えるのか?
これらの疑問を応えるためは,顕微鏡による観察技術が必須となりますので,研究室のメンバーは 顕微鏡の取り扱いや観察眼を高度なレベルへ高めています。

 

 水質・毒の分析技術

プランクトンや細菌が増えるには水質が大きく関っています。たとえば水中の栄養塩が多いとプランクトンはたくさん増えます。 どういう環境で赤潮や貝毒が発生すのかを知る上で,水質を調べることは非常に重要です。また,当研究室では, 有毒なプランクトンの毒合成についても調べてます。よって,様々な実験に取り組む過程で 水質および毒の分析技術を身につけることができます。

 

 分子生物学手法

われわれは,赤潮や貝毒現象を分子レベルで解明しようと試みています。
たとえば,原因藻のDNA塩基配列を解析することで,いかなるプランクトンであるのかを遺伝子診断したり, あるいはどのようなRNAやタンパク質が発現しているのかを解析しており,これらの分析技術を身につけることができます。 さらに,高知大学海洋コア総合研究センター ならびに遺伝子実験施設の設備を利用して,高度な解析を 行うことも可能です。

 

 海洋観測技術

問題が起こって困るのは現場の海です。海に出ましょう。
現場の海洋環境は想像もつかないほど多様で変化に富んでいます。 海の表面を見ただけでは,海水の構造やそこに生息するプランクトンの種類・分布は想像がつきません。

どのような環境下で赤潮や貝毒が発生するのかを調べる上で,海洋環境を把握することは非常に重要であり, そのために最新の機器を駆使して水質を観測する技術が必要となります。
当研究室では,高知大学総合研究センター海洋生物研究教育施設 の設備・機器を利用して綿密な調査を実施しており,これらの調査を通じて海洋観測技術や知識を実践的に身につけることができます。

 


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