有毒・有害プランクトンに起因する貝毒や赤潮の問題を理解する上で、これらの増殖機構、毒生産機構、 さらにはこれらの環境適応機構といった生命の基本的営みを明らかにすることは極めて重要です。これに関連して、 近年多くの生物について、生命の基本的な営みを理解するために、それぞれの持つゲノムに注目し、この中に含ま れている様々な遺伝子の機能を解析することが精力的に行われています。有毒・有害プランクトンに関しても、一 部の種について、この様なゲノム解析が始まろうとしています。この際、遺伝子の機能を解析するためには、遺伝子 導入を行うことが極めて重要となりますが、いまだ有毒・有害プランクトンの遺伝子導入法（次図）については全 く報告がありません。当研究室では、すでにキートケロスをはじめとする有用珪藻への遺伝子導入に成功しており、 これを有害・有毒藻に応用しようとしています。これにより本研究室では、世界に先駆けて、これらの有毒・有害プ ランクトンへの遺伝子導入法の開発しようとしています。これによりこれらの遺伝子の機能を明らかにし、有毒・ 有害プランクトンの生命の営みを分子レベルで解明することを目指しています