新型赤潮原因プランクトンの魚毒性・発生機構に関する研究 

世界各地の沿岸域では,毎年のように新型の赤潮が発生しています。 我が国においても,これまで赤潮を引き起こさなかったような植物プランクトンが,ある日突然「大増殖」して, 魚介類を大量に斃死させることは,多数報告されてきました。事前に,赤潮になる危険性が高いプランクトンを 特定して,未然に被害対策を図ることはできないのでしょうか?

ここ最近,日本沿岸域において観察されるようになった植物プランクトンが報告されています。 その植物プランクトンは,「大増殖」することはないのですが,近年,発生の頻度が高まっており,いつ赤潮を 引き起こすのか,不気味な存在でした。

我々は,近い将来,このプランクトンが赤潮を引き起こす可能性を探るべく,室内で培養したところ,ある特定 条件下で,赤潮と呼べるほどの「大増殖」を観察することに成功しました。 次に,このプランクトンを魚と一緒の水槽で培養してみました。魚介類を斃死させる有害なプランクトンであるのかを 事前に知るためです。

(まだ試験の段階なので,確定的なことは言えませんが)写真のように魚を斃死させたことから,我々は,この プランクトンを,赤潮を引き起こし魚介類を大量斃死させ得る種ではないかと考えています。
今後,この潜在的有害なプランクトンが,どのような環境条件で「大増殖」し,どの程度の細胞数で魚毒性を 発揮するのかを明らかにすることで,このプランクトンの「赤潮危険度予報」をできれば,未然に漁業被害を 軽減できるのではないかと考えています。そのため,このプランクトンの特徴を把握し,良好に増殖できる条件を 見つけようしています。これまでに無い方向性の研究なので,どのような成果が得られるのか予想がつきません。 その点では,今後の展開が楽しみな研究テーマです。

 

 


魚毒性中毒・貝毒---赤潮 ---バイオ燃料---TOPへ戻る