高知大学 海底鉱物資源研究室 臼井 朗
(海洋コア総合研究センター)
2016.8.24 更新
マンガン団塊・クラストは非常にゆっくりと成長する堆積岩であり,百万年オーダーの年令を持っています.従って,酸化物の形成・成長は,各生成時期の海底近傍の物理化学的条件,堆積環境,生物活動等の影響を受けることが予想され,その内部には長いレンジの海洋環境の変遷やイベントの記録が様々な形で記録されている可能性があります(臼井, 1998).団塊・クラスト内部の微細構造・組成変化等と海洋環境の変遷との対応関係が明らかになれば,逆に,海底堆積物におけると同様の手法で,団塊・クラスト中に記録された微細スケールの諸パラメータの変化が過去の環境変化をひもとく鍵となります.
これらの鉄・マンガン酸化物はいつごろで来たものでしょうか?百万年単位の年令であることはわかっていますが、各薄層の年代となるとデータは不十分です。現在mmオーダーの正確な年代目盛りはありません。その不在が研究進展の大きな障害であり,今後のブレークスルーが最も期待されているところです.放射性同位体(10Beによる年代推定の例:第9図),微化石等による従来の年代測定法に加えて,最近,マンガンクラスト中に明瞭な地磁気反転(下図に一例)を読み取ることなどが可能となり(Joshima and Usui, 1998),精密年代測定法の開発が重要な課題として見直されている.
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