光線の透過率(gap fraction)
ここでは、葉群が空間的にランダムに分布している場合について述べる
(Nomura et al. (2020)で説明している)。
より一般的な場合については、Nilson (1971)を参照のこと。
葉面積指数\( L \) \( ( \text{m}^2 \; \text{m}^{-2} )\)
の葉群を\( N \)層に分ける。
\( N \)は大きな値とする。
それぞれの層は、微小葉面積指数\( \Delta L_i \) \( ( \text{m}^2 \; \text{m}^{-2} )\)
(\(i = 1,2,・・・N \))を持っているとする。
それぞれの層の厚さは、\( \Delta L_i \)がすべて同じ値に
なるように選ぶことができる(\( \Delta L_i = \Delta L \)) 。
これらの\( \Delta L \)が、水平面に投影する面積は、
\[ \Delta L_{hor} = \frac{G(\theta) \Delta L_i}{\cos\theta} \]
である。
ここで、\( \theta \)は観測者あるいは太陽の天頂角、
\( G(\theta) \)は、\( \theta \)方向への葉の投影率である。
上式は、
「微小葉面積指数\( \Delta L \)によって水平面に投影される影の面積は、
\( \Delta L_{hor} \)である」ことを示している(単位土地面積あたり)。
影になっていない面積は、単位土地面積あたりでは\(1 - \Delta L_{hor} \)である。
\( N \)層ある場合、水平面のある点が、影に隠れていない確率(\( P_0 \))は、
葉が空間的にランダムに位置しているとすれば、
\[ P_0 = (1 - \Delta L_{hor})^N = (1- \frac{G(\theta) \Delta L}{\cos\theta} )^N \]
となるはずである。ここで、定義より、\( \Delta L = L / N \) であるので、
これを代入して、\( N \rightarrow \infty \)を取ると、
ネイピア数e (= 2.718...)の定義
を参考に、
\[ P_0 = \exp{ \left( - \frac{G(\theta)}{\cos\theta} L \right) } \]
となる(ちなみに\( \exp{(x)} \)はeのx乗を表す)。上式は、「直達光が葉群に遮られずに、ある深さ\( L \)まで到達する確率」、
あるいは、「葉群の上\( (L = 0) \)の直達光強度を1としたときの、ある深さ\( L \)における直達光強度の平均値」とみなすことができる
(ただし、葉に当たった光はすべて吸収される(= 葉は黒体)と仮定したとき)。
また、カメラ画像から\( L \)を推定する際、「カメラ画像に含まれるギャップ(背景)の割合」とみなすこともできる。
カメラ画像に含まれるギャップ(背景)の割合\( P_0 \)は、画像解析によって求められるので、
前式を\( L \)について解けば、
\[ L = - \frac{\cos\theta}{G(\theta)} \ln{P_0} \]
となり、\( L \)を推定できる
(ただし、\( G(\theta) \)があらかじめわかっている必要がある)。
なお、\( \ln{x} \)は、\( x \)の自然対数(= 底をネイピア数eとした対数)である。