日本藻類学会第29回大会(京都)2005年3月28日

○関田諭子*・内藤知恵**・奥田一雄*:黄緑藻トリボネマ属の一種のセルロース合成酵素複合体の構造

 セルロースミクロフィブリル(CMF)は,原形質膜に結合するセルロース合成酵素複合体(terminal complex = TC)によって合成される。TCには,CMFを合成するという機能は同じであるが,構造の異なる複数のタイプが存在する。また,現在までの研究では,同じ系統群に属する種は同じタイプのTCを持つことから,TC構造は植物の系統を反映することが示唆されている。黄緑藻鋼におけるCMFとTCの研究は,現在までに,フシナシミドロ目に属する2種,ミスココックス目に属する1種についてのみ報告がある。それらのTCを構成する顆粒は,複数列斜め階段状に配列し,扁平なリボン状のCMFを合成する。本研究は,トリボネマ目に属するトリボネマ属の一種を用いて,CMFおよびTCの構造を明らかにすることを目的とした。
 トリボネマ属の一種のCMFは,幅が2-14 nm(平均6.67 nm),厚さが2.26 nmのリボン状の形態を示した。また,TCは,原形質膜PF面にのみ存在し,顆粒が二列または三列の直線状に配列する構造であった。このTC構造は,今までに知られている黄緑藻のTC構造とは全く異なる。このことから,黄緑藻は同一系統群に異なるタイプのTCをもつ例であることが初めて明らかになった。
(*高知大・院・黒潮圏,**高知大・院・理)

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