Nodal は,細胞表面の受容体と結合して,その細胞の活動に影響を与えるタンパク質です。 胚の中の Nodal タンパクを過剰にしたり,逆に Nodal タンパクが働かないようにしたりすると, 神経管が閉じなくなります (右図)。 ですから,Nodal の働きは,神経管の形づくりに必要であることがわかります。 | ![]() |
では,今度は cdx の機能を妨害してみたらどうなるでしょう? ドミナントネガティブという手法で,cdx の機能を妨害すると,Nodal の働きが乱されたときと同じように,神経管ができなくなります。 右の図では,すべての神経細胞で発現する etr 遺伝子の mRNA を青く染めています。 上の写真は正常胚を背側から見たところです。 etr を発現する神経細胞が,背中側の正中線上に整然と並んでいることがわかります。下の写真は cdx の機能が邪魔されたときの胚です。神経細胞が正中線上に並んでいません。 この結果から,cdx が機能しなくても,神経細胞は分化している・・・けれども,神経管の形づくりは正常に行われない・・・ということがわかります。 | ![]() |
* | Mita, K., Koyanagi, R., Azumi, K., Sabau, S.V. & Fujiwara, S. (2010) Identification of genes downstream of Nodal in the Ciona intestinalis embryo. Zoological Science 27, 69-75. |
* | Mita, K. & Fujiwara, S. (2007) Nodal regulates neural tube formation in the Ciona intestinalis embryo. Dev. Genes Evol. 217: 593-601. |