Web教材 NaClの状態変化・水への溶解  Ver. 1.12 (2009/9/7)

4.固体と液体のNaClが共存した系

温度を高めに設定すると,少しずつ融解していきます.
温度を低めに設定すると,少しずつ固化していきます.

少しずつ融解していく様子(805℃)

216個のNa粒子(ナトリウムイオンNa+ + 216個のCl粒子(塩化物イオンCl-)からなるNaCl805℃(=1078 K)に保持したところ,内部エネルギー E は上昇し,密度 D は低下していきました. 少しずつ液体の部分が拡大していき,やがて全体が融解したのです.

固体と液体が共存した状態









Na粒子(黄色)Cl粒子(緑色)とが立方体状に 規則正しく並んでいる部分(左側)が固体のNaCl,不規則に並んでいる部分(右側)が液体のNaClです.

融解が進みつつあるところ










上の図から約 5 ps 経過すると,液体の部分が広がってきていることがわかります.

全体が融解したところ











さらに約 5 ps 経過すると,全体が融解して液体のNaClになりました.

融解が少しずつ進んでいく様子

それでは,融解が少しずつ進んでいく様子を連続的に見てみましょう.
融解が進んでいく様子のアニメーション(8.3秒間)を見る (AVI形式,4.1 MB)

なお,アニメーションをさまざまな方向から眺めたい方は,gfa形式のファイル NaCl_s-l_1078.gfa (806 KB)をご利用ください.
(使用法はこちらをご覧ください.)

少しずつ固化していく様子(750℃)

216個のNa粒子(ナトリウムイオンNa+ + 216個のCl粒子(塩化物イオンCl-)からなるNaCl750℃(=1023 K)に保持したところ,内部エネルギー E は低下し,密度 D は上昇していきました. 少しずつ固体の部分が拡大していき,やがて全体が固化したのです.

固体と液体が共存した状態









Na粒子(黄色)Cl粒子(緑色)とが立方体状に 規則正しく並んでいる部分(左側)が固体のNaCl,不規則に並んでいる部分(右側)が液体のNaClです.

固化が進みつつあるところ










上の図から約 20 ps 経過すると,固体の部分が広がってきていることがわかります.

全体が固化したところ











さらに約 10 ps 経過すると,全体が固化して固体のNaClになりました.

固化が少しずつ進んでいく様子

それでは,次に固化が少しずつ進んでいく様子を連続的に見てみましょう.
固化が進んでいく様子のアニメーション(20秒間)を見る (AVI形式,9.2 MB)

なお,アニメーションをさまざまな方向から眺めたい方は,gfa形式のファイル NaCl_l-s_1023.gfa (1.9 MB)をご利用ください.
(使用法はこちらをご覧ください.)

固体だけから出発して融解を起こす計算(シミュレーション)は,温度を高めに保てば容易にできます( 「2.NaClの融解」). ところが,液体が自発的に固化(結晶化)していく計算は,なかなかできません. しかし,固体と液体の共存状態から出発すると,固化の計算ができるの です.

Copyright by

高知大学教育学部 赤松研究室 赤松 直,田 偉,南場 功充
岐阜大学教育学部 川上研究室 川上 紳一
東京工業大学地球惑星科学専攻 河村研究室 河村 雄行

協力者

室蘭工業大学工学部材料物性工学科 澤口 直哉