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Welcome to 山田和彦研究室
783-8505 高知県南国市岡豊町小蓮 高知大学医学部総合研究棟III 409号室
Tel 088-888-2009 E-mail: kyamadaATkochi-u.ac.jp AT@に変更してください

Research

(1)全原子を測定対象とする次世代型NMR装置の開発

化学の研究分野においてNMR法は標準的な分析機器と言えます。ただし、多くのユーザーは主にプロトン(1H)かカーボン(13C)を測定しています。原子の周期表を眺めると、ほぼ全ての元素に核スピンが存在することが分かります。つまり、全原子を測定対象にすることは理論上可能です。しかしながら、現状では測定できる核種や試料は限られています。具体的な問題点として、四極子相互作用等の核スピン相互作用による線幅の増加や、ラーモア周波数やスピン濃度に起因する感度不足が挙げられます。当研究室では、これら問題を解決し、周期表上の全ての原子を測定することが可能な新しいNMRシステムを構築することに挑戦しています。本研究テーマは科学技術振興機構先端計測分析技術・機器開発プログラム「全原子を測定対象とする次世代型NMR装置の開発」(研究代表者:山田和彦)の助成を受けて、東京大学、京都大学、早稲田大学、山形大学、理化学研究所と共同で実施しています。


(2)硫黄NMR法を用いたゴムの架橋構造解析

ゴムは人類史上最も古いマテリアルの一つです。例えば、自動車用タイヤに代表される通り、現代社会においては必要不可欠なポリマー材料と言えます。また、重要な基本的工業用原料でもあることから、我が国における戦略物質です。しかしながら、これだけ普及している重要なマテリアルにも拘わらず、実は中身がどうなっているのかはまだ誰も知りません。より具体的には、ゴム物性を理解する上で最も重要な硫黄原子を介した架橋構造が未だに判明していません。その最大の理由は、非晶性高分子であるゴムに対して有効な分析手法が存在しないことが挙げられます。最近、当研究では従来のNMR装置では観測することが不可能であった共有結合性を示す硫黄のNMRスペクトルの測定と解析に成功しました。この硫黄原子を測定対象とする固体NMR法を武器として、200年来の謎であるゴムの架橋構造の解明に取り組んでいます。


(3)固体NMR・MRI法による物性解析研究

当研究室の研究テーマは、固体NMR法を主軸とした分子構造および動的挙動解析を含む物性研究です。例えば、ポリビニルアルコールのホウ素による架橋構造の解明、バナナ型液晶分子や超分子の構造・動的挙動解析、遷移金属触媒や光触媒の分子メカニズムの解明、等々に取り組んでいます。最近では、鉄や銅を含む常磁性物質を対象とした高分解能NMR法の開発や酸素やカルシウムを測定対象とする超高感度化多核MRI法の開発に挑戦しています。




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