研究内容

▶ 未利用資源(メタン,バイオマス)・排熱有効利用のための高性能触媒の開発

(2018年最終更新)→最近の研究内容の詳細は論文リストを参照ください。

☆ 多電子レドックス触媒を用いた電場中での低温メタン直接転換
 メタン酸化カップリングはメタンと空気(酸素)からエチレンなどのC2炭化水素を一段で作れる反応です(式1)。

           2CH4 + O2 → C2H4 + 2H2O (式1)

 我々はポリオキソメタレートから誘導したCe-W-O系触媒に電場を印加することで,150度という低温でもこの反応を進められることを見出しました。この内容は以下の論文で報告したほか,JSTさきがけにも採択されました(研究期間:2016年10月~2020年3月)
<主な論文>
Scientific Reports, 6 (2016) 25154.(doi:10.1038/srep25154)
・The Chemical Record, 17(8) (2017) 726-738.(doi: 10.1002/tcr.201600127)
・Catalysis Today, 299 (2018) 80-85.(doi: 10.1016/j.cattod.2017.05.013)

☆ バイオエタノールの水蒸気改質による水素製造
 エタノール水蒸気改質(式2)は低濃度エタノール水溶液から直接水素を得られる反応です

C2H5OH + 2H2O → 2CO2 + 6H2  (式2)

 我々はPt/CeO2触媒に電場を印加することで,200度以下の低温でも反応を進められることを見出しました。またCoをアパタイトに担持した触媒を用いると炭素析出を著しく抑制できることも見出しました。この内容は以下の論文で報告しました。また,本成果の一部はJSPS科研費若手(B)(代表:小河)の成果です。
<主な論文>
Journal of the Japan Petroleum Institute, 59(5) (2016) 174-183.
 (DOI: dx.doi.org/10.1627/jpi.59.174)
Chemistry letters, 46 (2017) 729-732. (doi:10.1246/cl.170072)

☆ バイオマスセルロースから軽質炭化水素への直接転換
 木質系バイオマスに多く含まれるセルロースと,Pt担持ゼオライト触媒と水を耐圧反応器に封入し,熱を加えるだけでプロピレン・ブテンなどの有用な低級オレフィンへと直接転換できることを見出しました。まだ収率は低いですが,今後触媒活性をさらに高められればバイオマスから石油化学の基幹化学品を作れるようになることが期待されます。この内容は以下の論文で報告しております。
<主な論文>
Fuel Processing Technology, 141(1) (2016) 123-129.DOI: 10.1016/j.fuproc.2015.06.032
ChemistrySelect, 22 (2017) 6201-6205.(DOI: 10.1002/slct.201701035)