海洋生命・分子工学実験 II 2018

(1)細胞工学的実験法・免疫学的実験法 (砂長)


 はじめに
 この実験のキーワードは,ずばり「抗 体」です。実験 II を履修する人で「抗体って何?」ってことはないと思いますので,
詳しい説明はここではしません。今までに履修した海洋生命・分子工学コースの授業のどこかで必ず習ったはず??
抗体とは本来,脊椎動物がもつ生体防御機構のなかではたらいている因子です。抗体は,体内の 異物(抗原)に結合し,
その後,抗体が結合した異物は,いくつかの経路によって,体内から排除されます。実際に異物として認識されるものの
例として,細 菌,ウイルス,それらに感染した細胞,毒素などがあります。抗体は抗原の一部分(エピトープ)を認識し結合
しますが,抗体はエピトープの立体構造を厳密に認識しています。われわれの体内には,あらゆる抗原に対応する
ために,きわめて多様な抗体のセットが用意されていることになります。さらに,全く未知の抗原に対する抗体をつくりだ
すこともできます。

 一方,ある生命現象を分子レベルで理解しようとするとき,多くの場合,そこではたらいている「タンパク質」について
調べることになります(もちろん DNA や RNA を標的分子にした研究もあります)。・・・・ あなたに今,詳しく調べてみたい
タンパク質(もしくは遺伝子)があったとします。そのタンパク質が 生体内のどの細胞で発現しているのか?分子量は
どれだけなのか?他のタンパク質との相互作用は? そのタンパク質の機能は?
 調べることが沢山あります。 
そんなとき,研究対象のタンパク質だけに結合してくれる分子があったらどうでしょう??具体的には思い浮かばなくても,
なんとなく研究の役に立つ気がしませんか?? 実験 II を通して,その「なんとなく」が「なるほど!」に変わります。
 
 さて,そこで抗体の出番です。この実験では抗体が抗原を厳密に認識して結合するという性質を利用して,
研究対象(ねらい)のタンパク質を検出する実験をします。抗体がタンパク質を研究する上で,どう使われるのか?
どう有用であるのか?を理解し,体感てください。

 具体的には次の 3 種類の実験をします。詳しい説明はそれぞれのページを見てください。

 1) マウスの解剖と細胞数のカウント

 2) ウェスタンブロッ ティング

 3) 組織切片に対する免疫染色法



●レポートについて●

「マウスの解剖と細胞数のカウント」,「ウエスタンブロッティング」,「組織切片に対する免疫染色法」の 3 つのメニューを併せて,
1通のレポートを提出してください。レポートのメインタイトルは「抗体をつかったタンパク質の検出」とします。


  ★ レポートに最低限かくこと
 
   1. 実験のまとめ

  目的,方法,結果をまとめて下さい。方法は,実際にやったことを簡潔に。最初に配った手順書と,実際にやったことは所々
 ちがったはずです。結果はダウンロードした写真を貼り付けるだけではダメです。文章でも説明すること。矢尻や
 引き出し線などを追加して,読み手が分かるように工夫して下さい。
こういうのは,「専門情報処理演習」の最初の
 課題でやりましたね,覚えてる?写真は高解像度版をつかうことをお勧めします。

  結果をみて,自分なりに考えたことなどを書いてくれたら加点します。例えば,他の班や,他の人 と異なる結果が出た場合
 や,明らかに失敗と思えるような結果が出た場合は,その結果から予想できることや,そうなった理由などを考えてみてくだ
 さい(これは強制ではありません)。

  2. 課題(各メニューごとに出題)
 
  実験をしたら,結果をまとめます。本来なら,実験の結果をもとにして,その実験で何が分かったのかを考察するのですが,
 この実験メニューの場合はちょっと難しいです。よって各メニューごとに課題を設定します。具体的な課題は,それぞれの
 ページに書いておきます。

★ レポート提出期限
 
   
     5 月 31 日(木) 日本時間 23:59 まで です。

 提出場所は,理学部 2号館 3 階の 331室前です。提出用のボックスを用意しておきます。

★他の人や先輩のレポートのパクリ(コピペ)が発覚した場合,厳しく対応します。実験だけでなく,1学期の単位全部没収です。
 これは,砂長が決めたルールではなくて,高知大学のルールです。



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