研究内容

恩田研究室では、環境に優しい持続型社会の実現のために、触媒化学の視点で、バイオマス資源を有効に利活用する技術を検討しています。
現在は石油製品であるプラスチックや化学繊維など化成品や医薬品の原料を、バイオマスなどの再生可能資源から生産できれば、理想的な持続型社会の実現に一歩近づきます。その夢を実現するために、触媒化学と水熱化学の研究を行っています。

水熱反応を基軸としたバイオマス化学変換グループ

バイオマスの主な構成成分である、セルロースなどの多糖や単糖の化学変換を担当しています。 バイオマスの成分が水熱分解することは古くから知られていましたが、その反応をコントロールすることは困難でした。そこで、水熱技術と触媒化学を駆使することにより、多糖の低分子化や単糖の化学変換を制御して、バイオマスから有用化合物を得るための基礎研究を行なっています。

 

さらに、宇佐の海藻の研究室と共同で、海藻のバイオマス利用についての基礎研究も行っています。

 

[主な研究テーマ]
〇水熱技術と触媒化学を組み合わせることによるセルロース変換
〇海藻の固有多糖から希少糖や硫酸化オリゴ糖を生産する触媒化学プロセスの開発
〇酸触媒と塩基触媒を巧みに用いることによるグルコースから有用化合物への変換
〇水熱反応中で有効に働く活性炭触媒の開発
〇ソルボサーマル法による多糖変換

[主な研究プロジェクト]
〇2021年度~現在 科学研究費 挑戦的研究(萌芽)
「細胞間多糖の高付加価値化を実現する革新的触媒変換手法の開発」(代表)
〇2022年度~現在 受託研究
「令和4年度地域資源循環を通じた脱炭素化に向けた革新的触媒技術の開発・実証事業」(分担)

酸・塩基性触媒を用いた化学変換グループ

バイオマス由来化合物から、有用な化成品や医薬品の原料を生産する酸・塩基性触媒を用いた化学変換を担当しています。具体的には、糖から発酵により生産できるエタノールや乳酸を原料として、ブタノールやアクリル酸を1段反応で生産するプロセスについて、いずれも環境にやさしい固体触媒を用いた化学プロセスの検討を行っています。

 

ここでは、ハイドロキシアパタイトという骨や歯の主成分である無機化合物が、とても優れた触媒作用を示すことを種々の反応に対して見出しています。
その他に、ゼオライトなど様々な無機化合物の触媒作用を検討し、アルコール、カルボン酸、ジオール、アミン、アミノ酸などのバイオマス由来化合物を有用化合物に変換する固体触媒技術も検討しています。

 

[主な研究テーマ]
〇ハイドロキシアパタイトの酸塩基触媒特性の解明
〇エタノールからのブタノール生成
〇ジオールからシクロアルカン生成
〇乳酸からアクリル酸生成

[主な研究プロジェクト]
〇2009年~現在 共同研究
「アパタイト触媒によるバイオマス変換触媒プロセスの開発」(代表)