Fish Nutrition Lab. Kochi University
 海洋資源科学科 海洋生物生産学コース 水族栄養学研究室

 

プレミアムDHAブリ

尾鷲物産(株)と共同開発したドコサヘキサエン酸(DHA)を多く含む養殖ブリです。尾鷲物産のホームページにも解説があります。実は、スシローで期間限定で提供されている「尾鷲のブリ・とろブリ」はこの魚です。
出荷の基準は、「DHAの濃度が可食部(背+腹)100g当たり3g以上の養殖ブリ」としています。基準を明確にしたブランド養殖魚です。
尾鷲物産ホームページへ
開発の一部は「生研支援センター「革新的技術開発・緊急展開事業(うち地域戦略プロジェクト)」の支援を受けて行われました。

始めた理由など

尾鷲物産(株)から本事業の提案をいただく。
世界的に健康需要が高まる中で、養殖ぶりにも多く含まれるDHAに着目。
養殖ぶりのDHA含有量を、現代の養殖技術でさらに増やすことはできないか。との提案。
養殖ぶりの長所を伸ばして、世界に普及できる養殖魚にという考えに賛同し、研究を開始

さっそく試験開始

水槽試験にて、餌の成分を変えることでブリの身に含まれるDHA含量を増やすことができるか試験。結果として、高DHA化は可能であり、さらに成長も改善できてしまった。いつもながら、ラッキーである。

現場での試験と飼料の改善

スタート当初は、通常の飼料製造ラインに試験飼料を乗せて貰えず、手混ぜで試験を行いました。そのためオイルがEP(固形飼料)にうまく馴染まなかったり、給餌の際に浮いてしまうなど、様々な問題点がありました。尾鷲物産(株)の職員の方々の苦労もあり、なんとか試験を行い、現場でも高DHA化を確認。ただ、DHA含量の目的値に達するために改善が必要に。
研究室では、より安全性と持続性を考慮して、DHA源として藻類ミールの検討を行い、問題の無いことを確認。

現場飼料の改善と販売

こちらの要求に対応できる飼料メーカーに製造先を変更。油脂源もよりDHA含量が高いオイルを使用し、ほとんどの添加油脂をそのオイルに。結果として、目標値、可食部におけるDHA含量 3 g/100 gを達成。販売を開始。

さらなる検討

DHA含量の高いオイルの価格は高いため、より適切な給餌時期等を検討。そして高いDHA含量を維持するための給餌方法も検討。なるべくコストを抑えた生産を現在も検討中。本年度も販売は好調。そして、副産物として冬でも育ち、ずっと大きなブリが出荷できたとのこと。社長も喜んでくれました。
そして、これまでの研究を基に新たな研究プロジェクトを立ち上げ、それが農林水産省系の予算に採択された(尾鷲物産、フィード・ワン、三重県、高知大学)。これから3カ年でさらに最適化した飼料の開発を行います。
 

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