大規模化する農家さんの支援に向けて



(イネ) どれくらいの施肥量にすればいいのか

 効率的に、高い収穫量かつ美味しいコメを作るためには、適切なタイミングに適切な量の肥料を与える必要があります。 水田は、その場所によって気候や土壌の条件が異なるので、その水田において最適な肥料のやり方を設計してやる必要があります。
 それを支援する手法として、ドローンで撮影した画像を解析することで、肥料の量の違うイネの生育変化の違いを評価しました。 これにより、効率的な肥料の量を決める参考とすることが期待できます。
 右図は、水田内の肥料を撒いたエリアとその周辺における葉面積の変化(ここでは、生育変化の指標として葉面積を採用した)を示したものです。 肥料を多く撒いた場所で時間とともに葉面積が大きくなることがわかります。
(参考:日本作物学会紀事,90(2),2021.)

(ダイズ) 湿害が発生する可能性はありそうか


 日本では、水田からダイズへの転換畑が多くみられます。そのため、高い土壌水分量により、湿害による減収などが問題となることがあります。 これに対して、畝たてや排水設備の設置などの対策が開発されてきました。畑によって土壌条件は異なるので、その畑で予想される湿害程度に対して費用対効果のよい対策を選ぶことが必要になります。
 それを支援する手法として、ドローンで撮影した画像を解析することで、体積含水率を面的に推定しました。 これにより、畑のなかでの湿害が発生しそうな箇所の早期把握が期待できます。
 左図は、生育初期に撮影した画像から推定した地点ごとの体積含水率と栽培期間中における実測値の平均値との比較です。 また、実際に湿害が発生して生育不良&黄変した様子の写真です。生育初期に推定した含水率の大小関係は、栽培期間を通じて同様の傾向を示すことがわかります。(参考:日本作物学会紀事,89(1),2020.)