高知大学理学部理学科生物科学コース 植物生態学研究室(植生研)
Laboratory of Plant Ecology, Faculty of Science, Kochi University

 

 高知県は,南は広大な黒潮に,北は四国山地の雄大な山稜に抱かれた山海豊かな地です.県内には四万十川や仁淀川などの清流が残されていることも特筆されます.

 高知県は,森林面積が約83%と,まさに森の県でもあります.その多くはスギ・ヒノキの植林ですが,自然状態に近い森林も比較的広く残されています.

 また,高知県の中山間地には里山の原風景が広がり,里山の自然とそこに住む人々はヒトと自然の関わりや暮らしの知恵を今に伝えてくれます.

 高知大学の植物生態学研究室では,このような自然の豊かな風土の中で,主に維管束植物(シダ植物,種子植物)の種生態,群落生態および古生態に関する研究をしています.
 具体的な研究内容として主に
  1)植物群落の分布,構造および種組成に関する生態学的研究
  2)群落構成種の生活史特性と立地条件に関する生態学的研究
  3)第四紀後期の植生と環境の変遷に関する花粉分析的研究
  があります.

 また,近年は生物多様性の保全が急務となっていますが,上記に挙げた基礎的な研究を通して,生物群集の多様性と多種共存を可能にする生態的機構を解析するとともに,生物多様性を生み出した生態的過程を地史的スケールから捉えようとしています.

 当研究室の特徴として,
  1)学生一人一人の希望を尊重して,各人が希望する研究に取り組めることを最優先としていること
  2)教官と学生との間の交流が公私ともに密であること
 を挙げることができます.
 教官や学生の立場を越えて,生物や生命現象について自由に議論できる空気がこの研究室には残っています.

 高知県は,幕末に坂本龍馬,中岡慎太郎をはじめ,多くの雄偉な人物を輩出した土地柄でもあります.辺境こそ時代の最先端!だと思います.豊かな自然を維持し,次の世代に受け継ぐために,地域への貢献,あるいは地域との連携を図りつつ,この高知から教育・研究の成果を世界に向けて大いに発信していきたいと思います.