ホヤ胚の発生生物学
 

私たちが使っているのはカタユウレイボヤ (Ciona intestinalis) です。右の写真は成体です。大きくなると 20 cm くらいになります。
袋の中に内臓を詰め込んだだけのように見えます。骨も,手足も,頭や顔もありません。
私たちとは全然似ていませんね。
しかし,ホヤ類は,私たち背骨のある動物 (脊椎動物) に最も近縁な無脊椎動物なのです。その証拠に,子どもは脊椎動物のとよく似たオタマジャクシの姿をしています (下図)。

カタユウレイボヤ

ホヤの尾芽胚ホヤの子どもはとても小さくて,長さが 1 mm もないくらいです。細胞の数は全部で 2500 個くらいしかありません。
(ヒトの大人は数十兆個の細胞でできています。)
小さな体ですが,尻尾の中央に “脊索” を持ち,中枢神経系 (脳と神経索) が背中側にあることなどから,ホヤは私たちに近縁であることがわかります。
左の写真では,etr という遺伝子の mRNA を青く染めています。脳と神経索が背中側にあることがよくわかります。
尻尾に点々と並んでいる青い細胞は,感覚神経です。

私たちは,ホヤの胚の体がどのようにして作られるのか,そのしくみを知りたいと思っています。
特に,細胞ごとに違う遺伝子が発現するように,上手に調節されるしくみに興味があります。
また,ホヤの体づくりのしくみと,脊椎動物の体づくりのしくみを比較することによって,
脊椎動物がどのようにして進化したのかも,知りたいと思っています。
私たちの研究室で行っている研究の一部をちょっとだけ紹介します。
 
ホヤの胚発生の研究