研究テーマ1 放射光X線を用いた科学捜査
微細試料の放射光X線分析を用いた異同識別
科学捜査上重要な微細試料は、工業製品です。代表的な科学捜査微細試料は、単繊維、ガラス片、自動車塗膜です。これらの主構成成分はメーカーにより厳しく製品管理され、主成分の差は少ない傾向にあります。メーカーの製品管理既定濃度以下の微量元素成分が異同識別に有用です。また、科学捜査試料は、裁判における再鑑定に備えて、非破壊で分析することが求められます。そこで、放射光X線分析を用いて、微細試料の新規非破壊異同識別法を開発しています。放射光は、実験室で用いるX線装置の一億倍以上輝度が高いため、蛍光X線（XRF）を用いた超微量元素分析が可能です。また、X線吸収微細構造分析（XAFS）を用いれば、微細試料の化合物同定が可能です。当研究室では、SPring-8やPhoton Factoryなどの施設を利用して、様々な研究を実施しています。
これまでに、従来の方法では識別できなかった微細ガラス片、白色自動車塗膜片・白色単繊維について、放射光蛍光X線分析により異同識別することに成功しました。
放射光を用いたXRFとXAFSを組み合わせた新しい科学捜査技術の開発を進めています。
