南海地震の規模
次の南海地震の規模はどのくらいなのでしょうか? 多くの見解で一致していることは、昭和南海地震は規模が小さめの南海地震であり、それよりは大きくなるだろうということです。地震の規模はマグニチュードで表し、1違うと約30倍、2違うと1000倍規模が異なります。地震の規模と、例えば高知市での揺れの大きさや津波の高さとは、単純に比例するわけではありません。それでも、地震の規模は地震の最も基本的な情報のひとつとして重要です。

図9 東北地方太平洋沖地震の震源域と南海トラフ沿いの地震の推定最大震源域
(気象庁、2011および、中央防災会議、2011より)
赤点線は従来想定されていた海溝型地震の震源域区分(地震調査委員会、2011)。
太平洋プレートが北アメリカプレートに沈み込む日本海溝沿いでは、宮城県沖地震や福島県沖地震、海溝寄りの地震など、いくつかの地震が知られていました。2011年の東北地方太平洋沖地震では、これら想定されていた地震の数個分が連動し、マグニチュード9.0の巨大地震を発生させました。南海トラフ沿いでは、南海・東南海地震は歴史的にも連動することが知られていましたが、東北での経験にもとづいて、地震が起こり得る最大の震源域が想定されました。その結果、南海トラフでも最大マグニチュード9.0(海溝よりの領域を加えると9.1)の地震が想定されています。
注意しなくてはならないのは、これは現時点で想定し得る最大の地震ということで、次の南海地震の規模は、はっきり言って起こってみなければわからないということです。この想定震源域のいつ、どこから破壊が始まり、どのように連動し、どこで止まるのか、現状ではわからないのです。
上図の東北と南海トラフの震源域を見ると、大きく違うことが一つあります。それは東北と比べてて南海トラフでは震源域が陸に近いことです。仙台市をはじめ津波で大きな被害を受けた三陸沿岸の街も、ぎりぎりですが震源域の上にはありません。これに対し、高知市をはじめ南海トラフ沿岸の街は、まさに震源域の真上に位置しているのです。これはプレートの沈み込み形態の違いに基づくのですが、当然のことながら東北よりも南海トラフの地震の方が強い揺れが予想されます。
南海地震といえば津波ばかりに気をとられがちですが、地震の揺れに対しても警戒を怠ってはなりません。