過去の南海地震の津波
これまでの南海地震でどのくらいの高さの津波が襲ってきたのでしょうか。昭和南海地震やチリ地震の津波については年輩の方は記憶にあるかもしれません。しかし、安政や宝永の津波はそれらに比べてはるかに大きかったことが知られています。

図23.慶長、宝永、安政、昭和南海地震の津波の高さ。うすい青色の部分は測点が
いくつかある場合の値の幅を示す(データ:村上 他、1996より)
過去の津波の高さについてもいくつかの研究がありますが、ここでは高知県沿岸についてはもっとも詳しいと思われる徳島大学の村上先生の報告を引用します。昭和の津波ではおおまかに4m程度の高さが記録されていますが、安政では軒並み5mを超え、高いところでは8m程度あります。さらに宝永になると6mでも低いくらいで、宇佐、下ノ加江、以布利など10mに達するところもあります。
ここでひとつ忘れてはならないのは慶長地震のことです。慶長地震は1605年と古くデータが少ないので、詳細なことはわかっていません。しかし室戸の佐喜浜や室津では10mもの波の高さが記録されており、この値が事実なら少なくとも県東部では宝永地震の津波よりも大きいことになります。