地盤の液状化
高知平野のような沖積平野では、地震が起こると液状化が発生します。
2011年の東北地方太平洋沖地震でも、東京湾の湾岸地域で広範囲に液状化が発生し、たくさんの住宅が傾いたり砂に埋まったりしました。液状化はもちろん東北の沿岸地域でも多数発生したのですが、その後津波が襲来したため、その痕跡はほとんど残されませんでした。
南海地震によって液状化が発生すると、家が傾いたりするだけでなく、道路に亀裂が入ったり、陥没することによって、避難の妨げになることも大きな問題です。また堤防などの決壊をまねくこともあります。自分の家だけでなく、周辺地域でも液状化を起こしそうな場所をあらかじめチェックしておきましょう。

図18 液状化の模式図
液状化はどうして起こるのでしょうか。私達が生活している沖積平野は、川によって運ばれた砂などが堆積してつくられました。たまったばかりの堆積物は、約半分が水でできています。この水がしだいに抜けることによって、絞め固まった堆積物となります。堆積物が自然にしっかりした地盤になるためには、千年では不十分で数千年もの時間が必要なのです。
堆積直後の砂などの粒子と粒子の間には、多くの隙間がありますが、粒子間の摩擦は有効に働きます。堆積物はどんどん上に積み重なっていくので、全体の圧力が上がり不安定な状態になります。これに地震の振動が加わると高圧の水が動き、粒子間の摩擦がなくなることにより、堆積物全体がまるで水のように動きます。これが液状化といわれるものです。
地盤は液状化によって噴砂を伴いながら脱水し、粒子と粒子の間の隙間が少なくなります。粒子間の摩擦は強いものになり、堆積物はより絞め固まった状態になります。
平野の地盤は、長い時間をかけて何回もの地震と液状化を経験することにより、しっかりとした地盤になるのです。