緊急地震速報
地震の予知はできませんが、地震の発生を揺れる直前に知ることは可能です。
地震は地下で岩盤が破壊することによって発生しますが、この破壊が始まると同時に私達の住んでいる家が揺れ始めるわけではありません。兵庫県南部地震のような活断層の地震ではほとんど同時ですが、南海地震のような海溝型の地震では一般的に破壊が始まって数秒~数十秒後に揺れが到達します。たとえば、昭和の南海地震と同じ潮岬の沖で破壊が始まれば、高知市に大きな揺れが到達するのに40秒程度かかる計算になります。これは地震波が地下を通ってやってくるのに時間がかかるからです。
電話やネットのような回線を使った通信や放送局の電波は、地震波よりもずっと速く信号を伝えることができます。そこで、できるだけたくさんの地震計を設置し、震源の近くで地震波を捕えることができれば、それよりも遠い地域に警報を送ることが可能なのです。この原理を利用した警報システムが緊急地震速報です(詳細は気象庁のホームページで)。

図15 緊急地震速報のしくみ
地震の破壊が始まる位置(震源の位置)が自分のいる位置から遠ければ遠いほど時間の余裕があり、その位置関係によっては間に合わないこともあります。次の南海地震がどこから破壊が始まるかはわかりませんが、震源のすぐ近くでない地域ではこの警報は非常に有効だと言えます。
緊急地震速報は地震予知ではありません。地震が発生してから揺れが到達するよりも速く、地震の発生を伝えているだけです。今後、海底地震計などの整備が進めば、より早く確実な速報を出すことができるようになるでしょう。
現在、緊急地震速報はラジオやテレビ、専用の警報器だけでなく、パソコンや携帯電話などでも受信できます。頼りきってしまうのは問題ですが、身の回りにひとつくらい準備すべきでしょう。